「帆夏さんは僕に石の素晴らしさを教えてくれた人だからね」
「あ、ああ〜。そういう……」
感謝とか、子弟愛的なやつね! ちょっとドキッとしちゃった。
カッコいい人相手だから、言葉のはしっこから絶対ないような夢見たくなっちゃうんだよね。
夢を重ねるには甘美な相手だもの。
「話、石に戻しますよ。ここに置いてるのはラリマーの中でもアイスラリマー。ほら、下の方クリアで、光沢があるでしょ? 海氷の一部みたい。南極の氷を石にしたらこんなんじゃないかな……」
うんうん、北園さんもニコニコしてくれてる。
居心地いいなあ、今この時が、二人きりで良かった。
◇
お店が軌道にのった、ということは全くないんだけど、でも一日に片手で済む人数のお客さんが入るようになってきた。
それに今日は石が好きな友達も来てくれた。
SNSで知り合った花世ちゃん、撮っている石の写真が綺麗で話していたら仲良くなった。私より三つ下、撮る写真のままに華やかで賑やかな子だ。
「ほのさんが、勢いで鉱物カフェ始めちゃったのは驚いたけど、それよりもあんなイケメンがカウンターに座ってた時のがびっくりだったよー!」