御曹司さまが納得するコーヒーでなくてわるかったですねー!!
紅茶派だから、コーヒーは好きじゃない。入れられるって程度。『カフェ』とついているからメニューのトップにあるだけ。
セレブを満足させられるようなお味は出せるわけないよ!

「お口に合わないものをお出しして、すみません」
 
お客さんから受けた不評だから、ひとこと謝った。
私からの北園さんへの好意は、地をえぐるほどダダ下がった。
この態度へのムカつき、天地を覆しそうな美貌でも打ち消せない。

「こんな、店のために……」

はい! なにか言いました!?
もう帰ってくれないかな。お客さんに思うことじゃないけど。
 
「あの、石」
「はい」
「なぜ、石を飾っているんです? 宝石であったらわかるのですが。その辺に転がっていそうな石を」

ぶちーんっ! 心の中で張ってた糸がついにぷっつり切れちゃった。