「あんな大胆な素材の組み合わせを発想されたのだから、どんな方なんだろうと色々想像してしまったのですが、会うと大違いだな。とても可憐で、春の小花みたいにいじらしい人だ。好奇心に満ちた瞳がきらきらしていて」

あれ? ついでに研究した私もたっぷり褒められている?
瞳とか研究には関係ないところまで褒めてくれて、えっと、瞳を輝かせている好奇心はあなたへのものです。
すごく、かっこいいんだもの。せっかく間近にあるなら拝み倒しておきたい。
 
「帆夏さんの研究されていた異種材料の──」

また研究のことを話しはじめた北園さん。
うわあ、この人すごく私の論文読みこんでる。
こわいくらい。
いい男ぶりに気圧されて後回しになっちゃたけど、北園グループからきた北園さんってその苗字偶然ってことはないはず。

あそこ一族経営だったような。研究所で世田さん含む女子研究員が、北園グループ特集の雑誌みて騒いでいた、専務をしている御曹司がヤバいくらいの美男子だって。
 
「あの、北園さん」
「はい」
「お話をされているところ遮ってしまって失礼します。北園グループの方で、苗字が北園ということは、その……」
「ああ、グループ総帥が僕の父です。僕は長男なので、北園自動車の専務をしています」