放課後、みんなが続々と教室を出ていく中、帰宅部の私は少しでも雨がやむのを待っていた。

そして気づけば周りは静かになって、私ともう1人、水谷くんの2人だけになっていた。


えっ、どうして水谷くんもまだいるの!?
気まずい………


そんな事を思いながらも窓の外を眺める彼の姿に見入ってしまった。


やっぱり、綺麗だな……。

確かに、かっこいい。周りが騒ぐのもなんか分かるかも。


でも、やっぱり、どこか寂しげな雰囲気が余計に引き寄せられる。

儚くて、消えてしまいそうな………


水谷くんに見入っていると、ふと彼の視線が後ろの私に移った。

ーーっ。やばい、見過ぎた。

イケメンの視線はこんな私にすらダメージを与えるようで、ドクン、と心臓が跳ねる。


「何?」


一言、そう言って私の目を見てくる。

話したこともない女子にこんなにまじまじと見られたらそりゃ不快だ。気持ち悪いに決まってる。


「あっ…ごめん。雨宿りしてて、残ってるだけ…なんだけど……横顔、綺麗だなって、、つい……ごめんね」


慌てて言い訳のようにしか聞こえない意味不明な事を言い、水谷くんから視線を逸らした。

こんな事になるなら早く帰れば良かった……。

傘持ってるくせに、なんで雨宿りなんてしちゃったんだろう、なんて今更後悔。


「…っ。ごめん、気持ち悪いよね!私、帰るね!」


勢いよく席を立ち、帰ろうとしたその時。


「新山さんってさ、雨、好き?」



彼からの言葉に体が固まった。
というか…私の名前知ってたんだ。