翌朝―
「ふう…」
私は今、1人で駅に向かって歩いていた。
結局私は昨夜のうちに亮平には明日は用事があるからお姉ちゃんと過ごしてあげてとメールを返していたのだ。
『そっか、分かった』
亮平のメッセージは素っ気ないものだった。結局亮平は私が誘いを断るのが分かっていたのだった。
「はあ~…」
今度は上を向いて溜息をつきながら、トボトボと歩いていると、前方から見知った顔の人物がこちらへ向かって歩いて来る。その人物は…。
「あれ?加藤さんじゃないですか?」
「あ…川口さん」
ニットの帽子にダウンジャケットを着た川口さんはコンビニにでも行ってきたのだろうか。右手にレジ袋をぶら下げている。
「新年あけましておめでとうございます」
私は丁寧に頭を下げて川口さんに新年の挨拶をした。
「あ、あけましておめでとございます」
川口さんは帽子を取って挨拶を返してきた。
「コンビニに行ってきたのですか?」
「あ…。ええ、乾電池が無くなってしまってテレビのリモコンが動かなくなっちゃったんですよ」
「そうだったんですね。てっきり実家にでも帰っているかと思いました。あ、そう言えば昨年はあんなに素敵なものを頂いてしまって本当にどうも有難うございます。毎日使わせて頂いています」
笑顔で言うと、川口さんは少しだけ頬を赤く染めた。
「い、いえ…使っていただけて良かったです。それで…どこかに出かける予定だったんですか?ひょっとして…デート…だったりとか…?」
「デート?ああ…そんなんじゃないですよ。プラネタリウムに行ってこようかなって思ったんです」
「プラネタリウム…1人でですか?」
「はい。実は何人かの友達に昨夜連絡を入れたんですけど…皆デートだって言う事で誰も予定つかなかったんですよ」
私は昨夜の事を思い出しながら川口さんに返事をした。
「そうなんですか…」
「はい、では行ってきますね。失礼します」
川口さんに頭を下げて歩き始めると、背後から呼び止められた。
「あ…ま、待って!」
「…?」
振り向くと、川口さんは顔を赤く染めながら私を見ていた。
「何でしょうか?」
首を傾げて尋ねた。
「あ、あの…もし1人で行くなら…お、俺も一緒について行ってもいいですか?!どうせ部屋で1人でいてもつまらないし…。あ、べ、別に暇つぶしについて行こうって思ったわけじゃなく、プラネタリウムって行ったことが無いから興味があって…」
顔を赤く染めてしどろもどろになっている川口さんが何となくおかしくて、私は吹き出してしまった。
「プ」
「え…?」
「あ…ご、ごめんなさい…。笑うつもりはなかったんですけどつい…。いいですよ?それじゃ一緒に行きますか?プラネタリウムに」
「はい!」
川口さんは笑顔で返事をした。
****
「加藤さん、どこでプラネタリウムを見ようと思っていたんですか?」
駅前の人込みの町を歩きながら川口さんが尋ねてきた。
「ええ。スカイツリーの中にあるプラネタリウムに行こうかと思っていたんです。」
「へぇ~…スカイツリーか…」
「行ったことありますか?」
「ええ、何回か彼女と一緒に…って。あ!す、すみません!」
川口さんを見ると、何故か真っ赤な顔をして謝ってきた。
「え?何故謝るんですか?」
「あ、だ…だって加藤さんの前で別の女性の話をして…」
「いえいえ…別に謝ってもらうような事じゃないですから…気にしないで下さい。大体私と川口さんはお付き合いしているわけでも無いのですから」
笑って言うと、何故かバツの悪そうな顔をされてしまった。
「あの…」
川口さんが私に声を掛けてきたその時。
「鈴音…?」
聞き覚えのある声が背後で聞こえ、振り向くとそこには亮平が白い息を吐きながら立っていた――
「ふう…」
私は今、1人で駅に向かって歩いていた。
結局私は昨夜のうちに亮平には明日は用事があるからお姉ちゃんと過ごしてあげてとメールを返していたのだ。
『そっか、分かった』
亮平のメッセージは素っ気ないものだった。結局亮平は私が誘いを断るのが分かっていたのだった。
「はあ~…」
今度は上を向いて溜息をつきながら、トボトボと歩いていると、前方から見知った顔の人物がこちらへ向かって歩いて来る。その人物は…。
「あれ?加藤さんじゃないですか?」
「あ…川口さん」
ニットの帽子にダウンジャケットを着た川口さんはコンビニにでも行ってきたのだろうか。右手にレジ袋をぶら下げている。
「新年あけましておめでとうございます」
私は丁寧に頭を下げて川口さんに新年の挨拶をした。
「あ、あけましておめでとございます」
川口さんは帽子を取って挨拶を返してきた。
「コンビニに行ってきたのですか?」
「あ…。ええ、乾電池が無くなってしまってテレビのリモコンが動かなくなっちゃったんですよ」
「そうだったんですね。てっきり実家にでも帰っているかと思いました。あ、そう言えば昨年はあんなに素敵なものを頂いてしまって本当にどうも有難うございます。毎日使わせて頂いています」
笑顔で言うと、川口さんは少しだけ頬を赤く染めた。
「い、いえ…使っていただけて良かったです。それで…どこかに出かける予定だったんですか?ひょっとして…デート…だったりとか…?」
「デート?ああ…そんなんじゃないですよ。プラネタリウムに行ってこようかなって思ったんです」
「プラネタリウム…1人でですか?」
「はい。実は何人かの友達に昨夜連絡を入れたんですけど…皆デートだって言う事で誰も予定つかなかったんですよ」
私は昨夜の事を思い出しながら川口さんに返事をした。
「そうなんですか…」
「はい、では行ってきますね。失礼します」
川口さんに頭を下げて歩き始めると、背後から呼び止められた。
「あ…ま、待って!」
「…?」
振り向くと、川口さんは顔を赤く染めながら私を見ていた。
「何でしょうか?」
首を傾げて尋ねた。
「あ、あの…もし1人で行くなら…お、俺も一緒について行ってもいいですか?!どうせ部屋で1人でいてもつまらないし…。あ、べ、別に暇つぶしについて行こうって思ったわけじゃなく、プラネタリウムって行ったことが無いから興味があって…」
顔を赤く染めてしどろもどろになっている川口さんが何となくおかしくて、私は吹き出してしまった。
「プ」
「え…?」
「あ…ご、ごめんなさい…。笑うつもりはなかったんですけどつい…。いいですよ?それじゃ一緒に行きますか?プラネタリウムに」
「はい!」
川口さんは笑顔で返事をした。
****
「加藤さん、どこでプラネタリウムを見ようと思っていたんですか?」
駅前の人込みの町を歩きながら川口さんが尋ねてきた。
「ええ。スカイツリーの中にあるプラネタリウムに行こうかと思っていたんです。」
「へぇ~…スカイツリーか…」
「行ったことありますか?」
「ええ、何回か彼女と一緒に…って。あ!す、すみません!」
川口さんを見ると、何故か真っ赤な顔をして謝ってきた。
「え?何故謝るんですか?」
「あ、だ…だって加藤さんの前で別の女性の話をして…」
「いえいえ…別に謝ってもらうような事じゃないですから…気にしないで下さい。大体私と川口さんはお付き合いしているわけでも無いのですから」
笑って言うと、何故かバツの悪そうな顔をされてしまった。
「あの…」
川口さんが私に声を掛けてきたその時。
「鈴音…?」
聞き覚えのある声が背後で聞こえ、振り向くとそこには亮平が白い息を吐きながら立っていた――