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「本当にごめんね……店長のゴリ押しで、冬夜くんまで巻き込んでしまって……」
「いや、頼んだのは俺だ」

 それに、と冬夜くんは言う。

「俺は足でまといになるからと思って言わなかったけど、本当は自分の目で確かめたかったんだ」

 そう言って、観覧車を見上げる冬夜くんは、『かくりよの眼鏡』を掛けていた。

「ナツと小野は、こういう世界をずっと見てたんだな」
「大丈夫? 酔わない?」

 テーマパークの入口には、人間だけじゃなく、妖怪や幽霊もちらほら見える。どれも無害な存在だけど、普段視えないものを視ると、慣れない人は気持ち悪くなると聞いていた。

「大丈夫だ。と言っても、フレームがあるのは何となく慣れないな。落ちてきそうだ」
「そっか。でも、気分が悪いなって思ったら、すぐに言ってね」

 私の言葉に、ああ、と冬夜くんがうなずく。
 それと同時に、前の人が去っていき、私たちの番になった。
 学生割引でチケットを買ったあと、私たちはいよいよ入園する。置いてあったパンフレットを開きながら、私は尋ねた。

「まずはどこから調べようか。できたら、危険性の低そうなところから始めたいんだけど」

 ちなみに、一番危険そうなのは『お化け屋敷』の噂だ。本物の幽霊が出るという噂で、インターネットでよく取り上げられる。そこは最後の方がいいだろう。

「それじゃあ、ここ、調べてみないか」

 冬夜くんが指さしたのは……。