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『え、冬夜くんが来るの!? 「開藤中の番長」が!?』

 私が二人をここに連れて来たい、と店長に言った時、店長は目を丸くしていた。

『……前から気になってたんですが、そんなに有名なんですか? 冬夜くん』
『有名なんてものじゃないよ! この辺りが平和になったのは、彼のおかげだって言われてるぐらいなんだ!』

 店長は興奮しながら話す。

『ここが霊脈が流れる土地であることは知ってるよね? 強大な力は、人間にも影響する。特に思春期の子たちは、影響を受けやすいんだ』

 だからこのあたり、すごく荒れててね。店長はそう言った。
 なるほど。時代遅れの番長制度があるのは、そういう影響があるのか。

『だけど、彼が番長になったとたん、一年で見違えるほど他の子たちも安定したんだよ。
 彼らの陰の気を食べて悪さしていた妖怪や亡霊も、ここすっかり落ち着いたなあ。お互いに影響し合わなくなって、どんどん落ち着いたんだよね』
『へえ……』
『たいがいの生き物は、力の強いものが頂点に着くと、従うからね。……強い者を蹴落としたくなる子もいるけど』

 たまに喧嘩を吹っかけられているところ見たことあるなあ、と店長は言った。