カレンダーを見て、月曜日じゃないことを
確認した澄矢は、学校の行く準備を始めた。
なんとなく、今日は行けそうだと感じた。
アイロンしたばかりのワイシャツに
袖を通して、ズボンを履き、
ブレザーを羽織る。
ネクタイをしめて、全身鏡で確かめた。
少し前髪がぴょんとはねていたが、
水に濡らしてもまっすぐにならなかったため
そのまま外に出た。
(今日のチャームポイントだ。)
誰かに見られて何か言われることを
期待する。
なんともない髪型は何も言われない。
かと言って、ワックスでかためても
珍しいねと言われて終わり。
かっこよく決めても周りは見慣れていて、
かっこいいなんて一言も言っては
くれないのだ。
そう見慣れてしまればそうなる。
毎日セットするのだって、時間がかかる。
今日くらいサボってしまえと手ぐしで
終わらせた。
自転車に乗って、
爽やかなすこし冷たい風を浴びる。
踏切につかまると、主婦のおばさまや、
犬の散歩途中のおばあちゃんと
おじいちゃんが隣にいた。
ご近所に住む人たちだが、
話したことはない。
ペコっとお辞儀するくらいだ。
いつも通りの朝が来たと思っていた。
学校の教室に入るまではそう思っていた。
「快翔、なんでお前いるんだよ。」
教室のど真ん中、たった1人で腕の中に
顔を埋めながら、いつも一緒に行動する
月島快翔《つきしまかいと》がいた。
「は?マジか。
まさか、お前が来るとは思わなかったよ。
よく来たな!!」
「ば、バカ。親戚のおっちゃんかよ。
いやいや、なんで、お前1人なん?」
快翔は澄矢の肩にぐわッとせまってきた。
「そりゃ、今日が三日月曜日だからだろ?」
「え?」
「お前、何でとぼけてんの?
常識だろ。
日曜日の次の日は0.5日進むんだよ。
そう、三日月曜日。
月曜日の前の日。
それは、自由に選べる日。
学校がある人は、登校してもいいし、
仕事の人は出勤してもいいし、
休んで良い日。
自由って良いよな!!」
ぐぐぐっと澄矢の肩を押しながら、
テンション高めに話す。
「んで?なんで、他のみんなは
登校してないの?
他のクラスもほとんど来てないし。
増してや、先生も来てなくない?」
「……当たり前だろ。
来る訳ないじゃん。
学校なんて。」
急にテンション高かった快翔は、
暗く無表情になり、真面目に席に座る。
「な、なんで?
誰が授業教えてくれんの?」
快翔は今まで
かけたこともないメガネを机の中から
取り出して、スチャッとかけた。
「俺、今からガリ勉くんだから。
話しかけないでくれる?」
普段勉強なんて真面目にしていない
教室に快翔と澄矢の2人っきり。
ものすごく静かだった。
きっと他の教室にも誰もいない。
人の気配を感じない。
職員室、まだ行ってないが、
先生がいるかどうかわからない。
気になった澄矢は職員室に行こうかと
考えた。
「…職員室行こうとしてる?」
「あ、ああ。
なんで考えること分かったんだ?」
「なんとなくね。」
快翔は後ろ向きのまま話す。
「行っても意味ないってこと?」
「別に…気になるなら行ってきたら?」
「…あ、ああ。」
カリカリとシャーペンが走る音が響く。
やんちゃな快翔が真面目に勉強するなんて
信じられない。
落ちてきたメガネのズレを調整している。
別人なんだろうか。
「んじゃ職員室行ってくる。」
「お、おう。」
快翔は教科書とノートを広げた机の上で
手を一瞬だけとめた。
澄矢はいつもと違う学校の様子が気になって、職員室に向かった。
廊下に出るとどこからともなく
不気味に窓から入る風の音が
ヒューと流れてた。
ここは現実で合っているのだろうか。
確認した澄矢は、学校の行く準備を始めた。
なんとなく、今日は行けそうだと感じた。
アイロンしたばかりのワイシャツに
袖を通して、ズボンを履き、
ブレザーを羽織る。
ネクタイをしめて、全身鏡で確かめた。
少し前髪がぴょんとはねていたが、
水に濡らしてもまっすぐにならなかったため
そのまま外に出た。
(今日のチャームポイントだ。)
誰かに見られて何か言われることを
期待する。
なんともない髪型は何も言われない。
かと言って、ワックスでかためても
珍しいねと言われて終わり。
かっこよく決めても周りは見慣れていて、
かっこいいなんて一言も言っては
くれないのだ。
そう見慣れてしまればそうなる。
毎日セットするのだって、時間がかかる。
今日くらいサボってしまえと手ぐしで
終わらせた。
自転車に乗って、
爽やかなすこし冷たい風を浴びる。
踏切につかまると、主婦のおばさまや、
犬の散歩途中のおばあちゃんと
おじいちゃんが隣にいた。
ご近所に住む人たちだが、
話したことはない。
ペコっとお辞儀するくらいだ。
いつも通りの朝が来たと思っていた。
学校の教室に入るまではそう思っていた。
「快翔、なんでお前いるんだよ。」
教室のど真ん中、たった1人で腕の中に
顔を埋めながら、いつも一緒に行動する
月島快翔《つきしまかいと》がいた。
「は?マジか。
まさか、お前が来るとは思わなかったよ。
よく来たな!!」
「ば、バカ。親戚のおっちゃんかよ。
いやいや、なんで、お前1人なん?」
快翔は澄矢の肩にぐわッとせまってきた。
「そりゃ、今日が三日月曜日だからだろ?」
「え?」
「お前、何でとぼけてんの?
常識だろ。
日曜日の次の日は0.5日進むんだよ。
そう、三日月曜日。
月曜日の前の日。
それは、自由に選べる日。
学校がある人は、登校してもいいし、
仕事の人は出勤してもいいし、
休んで良い日。
自由って良いよな!!」
ぐぐぐっと澄矢の肩を押しながら、
テンション高めに話す。
「んで?なんで、他のみんなは
登校してないの?
他のクラスもほとんど来てないし。
増してや、先生も来てなくない?」
「……当たり前だろ。
来る訳ないじゃん。
学校なんて。」
急にテンション高かった快翔は、
暗く無表情になり、真面目に席に座る。
「な、なんで?
誰が授業教えてくれんの?」
快翔は今まで
かけたこともないメガネを机の中から
取り出して、スチャッとかけた。
「俺、今からガリ勉くんだから。
話しかけないでくれる?」
普段勉強なんて真面目にしていない
教室に快翔と澄矢の2人っきり。
ものすごく静かだった。
きっと他の教室にも誰もいない。
人の気配を感じない。
職員室、まだ行ってないが、
先生がいるかどうかわからない。
気になった澄矢は職員室に行こうかと
考えた。
「…職員室行こうとしてる?」
「あ、ああ。
なんで考えること分かったんだ?」
「なんとなくね。」
快翔は後ろ向きのまま話す。
「行っても意味ないってこと?」
「別に…気になるなら行ってきたら?」
「…あ、ああ。」
カリカリとシャーペンが走る音が響く。
やんちゃな快翔が真面目に勉強するなんて
信じられない。
落ちてきたメガネのズレを調整している。
別人なんだろうか。
「んじゃ職員室行ってくる。」
「お、おう。」
快翔は教科書とノートを広げた机の上で
手を一瞬だけとめた。
澄矢はいつもと違う学校の様子が気になって、職員室に向かった。
廊下に出るとどこからともなく
不気味に窓から入る風の音が
ヒューと流れてた。
ここは現実で合っているのだろうか。