アスファルトの水たまりに
カエルが目だけ出して外をのぞいていた。
雑草の葉っぱに雨粒がたまって、
ゆっくりとはじいて落ちていく。
澄矢は、土砂降りの天気の中、
びしょ濡れになった服を
脱ぎ捨てて、シャワーをしに風呂場に急ぐ。
母の祐有子は、ベランダから落ちた澄矢を心配して
洗面所の外で待機していた。
「澄矢、バスタオル。ここに置いておくよ!!」
「ああ、わかった!!」
シャワーの音にかき消されそうになって、
想像以上に大きな声で話していた。
風呂場に反響して、うるさかった。
蛇口をしめて、すりガラスの扉をあける。
わしゃわしゃといつも通りに体を拭いていく。
洗面所の大きな鏡を見た。
いつも通りの自分の顔が映っていた。
鏡に手をかける。
(俺は生きてるんだよな。)
ベランダから落ちた瞬間、
夢を見ていたような空間にいた澄矢は、
本当にここにいる自分は本物なのかと
疑ってしまうほどだ。
パジャマじゃない姿で白いワンピースの女の子と
会っていた。それだけは鮮明に覚えている。
「澄矢!!私、もう、出勤時間だから行くから。
朝ごはん、テーブルに置いてたから
食べなさいね。」
「え、今日、遅番じゃないの?」
「は?何ボケてるのよ。
今日は日勤よ。」
「え、嘘、だって、
ほら、月曜日は遅番って書いてるじゃん。
シフト表に。」
「澄矢、なーに寝ぼけたこと言ってるのよ。
月曜日は明日よ。
時間ないから行くね。」
「嘘、んじゃ、今日、日曜日?」
「はぁ?そんなことも忘れたの?
今日は、三日月曜日でしょう。
頭打ってどうにかしたのかしら。」
呆れた様子の祐有子に澄矢は信じられなかった。
祐有子の方が頭がおかしいと思ってしまった
からだ。
「カレンダー見てみなさいよ。」
「え。カレンダー?」
澄矢は、壁に貼っていたカレンダーを見つめた。
日曜日と月曜日の間に三日月曜日というものが
存在している。しかも0.5日とも書いてある。
今日は、5月12.5日らしい。毎週、0.5日が
あるようだ。なんでそんなことになっているのか
さっぱりわからない。
日曜日の次は月曜日じゃなくなった。
嬉しいのかどう受け止めればいいか
わからなくなった。
「なぁ、母さん、俺、今日学校っていくの?」
「なーに言ってるの。いつものことを。
どっちでも良い日だよ。
学校行ってもいいし、行かなくても良い日。
そういう日って前から決まってるじゃない。
私は今日は、仕事したいし、稼ぎたいから
日勤の仕事。0.5日の日は職場近くの弁当屋が
半額セールしてるからその弁当食べるのよ。」
「まじで。超安いじゃん。」
「あれ、前にも話してたわよ。
同じこと言ってるけど、忘れてるの?
変な澄矢だね。
んじゃ、行ってきます。」
祐有子は、玄関を出て、マイカーである
軽自動車のエンジンをかける。
大雨の中、ワイパーを中速にし、
シートベルトをして、早々に発進した。
澄矢は窓から走り去る母の車を目で追いかけた。
道路は行き交う車や自転車の学生で
いっぱいになっていた。
「0.5日か…。俺はどうしようかな。」
独り言をボソッとつぶやくと、母が用意した
たまごのサンドイッチとパクッと食べた。
テレビをつけて朝のニュースをみる。
いつも通りの朝となんら、かわりがなかった。
外では、交差点でクラクションが鳴り響いている。
カエルが目だけ出して外をのぞいていた。
雑草の葉っぱに雨粒がたまって、
ゆっくりとはじいて落ちていく。
澄矢は、土砂降りの天気の中、
びしょ濡れになった服を
脱ぎ捨てて、シャワーをしに風呂場に急ぐ。
母の祐有子は、ベランダから落ちた澄矢を心配して
洗面所の外で待機していた。
「澄矢、バスタオル。ここに置いておくよ!!」
「ああ、わかった!!」
シャワーの音にかき消されそうになって、
想像以上に大きな声で話していた。
風呂場に反響して、うるさかった。
蛇口をしめて、すりガラスの扉をあける。
わしゃわしゃといつも通りに体を拭いていく。
洗面所の大きな鏡を見た。
いつも通りの自分の顔が映っていた。
鏡に手をかける。
(俺は生きてるんだよな。)
ベランダから落ちた瞬間、
夢を見ていたような空間にいた澄矢は、
本当にここにいる自分は本物なのかと
疑ってしまうほどだ。
パジャマじゃない姿で白いワンピースの女の子と
会っていた。それだけは鮮明に覚えている。
「澄矢!!私、もう、出勤時間だから行くから。
朝ごはん、テーブルに置いてたから
食べなさいね。」
「え、今日、遅番じゃないの?」
「は?何ボケてるのよ。
今日は日勤よ。」
「え、嘘、だって、
ほら、月曜日は遅番って書いてるじゃん。
シフト表に。」
「澄矢、なーに寝ぼけたこと言ってるのよ。
月曜日は明日よ。
時間ないから行くね。」
「嘘、んじゃ、今日、日曜日?」
「はぁ?そんなことも忘れたの?
今日は、三日月曜日でしょう。
頭打ってどうにかしたのかしら。」
呆れた様子の祐有子に澄矢は信じられなかった。
祐有子の方が頭がおかしいと思ってしまった
からだ。
「カレンダー見てみなさいよ。」
「え。カレンダー?」
澄矢は、壁に貼っていたカレンダーを見つめた。
日曜日と月曜日の間に三日月曜日というものが
存在している。しかも0.5日とも書いてある。
今日は、5月12.5日らしい。毎週、0.5日が
あるようだ。なんでそんなことになっているのか
さっぱりわからない。
日曜日の次は月曜日じゃなくなった。
嬉しいのかどう受け止めればいいか
わからなくなった。
「なぁ、母さん、俺、今日学校っていくの?」
「なーに言ってるの。いつものことを。
どっちでも良い日だよ。
学校行ってもいいし、行かなくても良い日。
そういう日って前から決まってるじゃない。
私は今日は、仕事したいし、稼ぎたいから
日勤の仕事。0.5日の日は職場近くの弁当屋が
半額セールしてるからその弁当食べるのよ。」
「まじで。超安いじゃん。」
「あれ、前にも話してたわよ。
同じこと言ってるけど、忘れてるの?
変な澄矢だね。
んじゃ、行ってきます。」
祐有子は、玄関を出て、マイカーである
軽自動車のエンジンをかける。
大雨の中、ワイパーを中速にし、
シートベルトをして、早々に発進した。
澄矢は窓から走り去る母の車を目で追いかけた。
道路は行き交う車や自転車の学生で
いっぱいになっていた。
「0.5日か…。俺はどうしようかな。」
独り言をボソッとつぶやくと、母が用意した
たまごのサンドイッチとパクッと食べた。
テレビをつけて朝のニュースをみる。
いつも通りの朝となんら、かわりがなかった。
外では、交差点でクラクションが鳴り響いている。