私はショックと悲しさとで何が何だかわからなくなっていて、とりあえず座る状態までは起き上がった。


「月葉……!」


紺野先生はハッとして私のもとに駆け寄り、抱きしめてくれた。


それに安心して、また泣けてきた。


そして、私の頭をなでながら、旗本先生をにらんだ。


「どういうことか説明願えますか。」


「それはこっちのセリフです。同居してるんでしょ、それこそどういうことなんですか。」


「そのことに関しては、色々事情があるんです。それより、保健室で生徒抱こうとする方が倫理観おかしいでしょ。」


紺野先生の銀縁眼鏡の奥の瞳はしっかり怒りを宿していた。


優しく頭をなでられているのに、なぜか怖さが手からも感じられた。


「もういい、送ってきます。」


「同居の件を水に流すんですか?」


「まさか、また戻ってくるので第2会議室で待っていてください。そこで話しましょう、全て。」


それだけ言うと、私が制服を着なおしたのを確認してから、紺野先生は私を保健室から連れ出した。


家に着くまで、私は全く口を開けなかった。


紺野先生は触られてないかとか何されたとか色々聞いてきたけど、恥ずかしくて私の口からは言えない。


でも、ずっと私に優しく触れてくれていて、だいぶ心は落ち着いた。