「紺野先生が手を出してないのは本当だったんだ。」


「待って、先生。1回落ち着いて下さい……。」


「やだ、待たない。わかってるかもだけど、俺、中川さんのこと好きだから。」


その言葉がどれほど私の頭に響いたことか。


紺野先生の言っていたことが本当だったんだ、っていう驚きと、信じれなかったことのショック。


それから、いつも優しい旗本先生が、今は乱暴なことの動揺。


唇から首に、舌を這わせてきて、なんだか蛇がつたっているような気味悪さだ。


セーラー服の首元がほどかれて、私の素肌が露になる。


「お願いだから、先生離してっ……。」


旗本先生の顔があまりよく見えないけど、ちょっと下がり眉になっていた。


なんで、そんな悲しそうな表情になるの?そんな顔したいのはこっちなのに……。


「え、待って。何してんの旗本先生。」


低くて、鳥肌が立つような心臓に来る声。そして、私が大好きな人の、大好きな声。


「紺野、先生……。」


私の声が無意識に震えていた。


「月葉……?ちょっと、月葉に何してんだよ。」


いつも陽気で明るく笑う紺野先生が、ここまで怒りを出した表情になるのは初めてかも。


旗本先生は私から黙っておりて、白衣の襟をサッと直し、近くの椅子に腰かけた。