「紺野先生と同居してるんだっけ?」


「えっ……?」


なんで、そのことを旗本先生が……。


紺野先生の立場的に、そんなこと絶対口外しない。


私だって、お世話になった人に恩を仇で返すようなことはしないし、まず両親にすら話せていない。


もうすぐ高校を卒業できるというのに、私はピンチに陥っていた。


「あれ、否定しないってことはやっぱりあってるの?」


思わず私は首を横に振った。


勢いが強すぎて怪しいレベルになってしまったけど。


「なんかさ、ずっと思ってたんだ。中川さんと紺野先生にはなんかあるだろうなって。」


「そ、な……。」


言葉にならない私の感情が声に出る。


呆然とする私に、旗本先生が黙って覆いかぶさってきた。


「や、なんで、先生……」


やめてって言おうとしたけど、旗本先生は何も言わずに私の唇をふさいだ。


き、キスってやつだよね?


恋愛経験のなさが私をより不安にさせる。


こんな簡単に唇を許してしまって、いいのだろうか。紺野先生ともまだなのに……。


なんとか先生の胸を押し返した。


「やめてくださいっ……せんせ、ん……」


旗本先生は片手で私の両手首を捕まえて、また再び唇を押し当ててきた。


もうやだ……自然と私の目に涙がにじんだ。