次の日に目覚めると、紺野先生はもう家を出ていたようだ。


クリップに挟んで置かれていた小さなメモ用紙には何やら急いで書いたかのような雑な字のメッセージが。


字の雑さが今の私の気持ちのようで、なんだかそれを見ていると嫌な気分になる。


『月葉、昨日は変なこと言ってごめんな。でも心配なだけなんだよ。冷蔵庫にいろいろ入ってるからちゃんと口に入れてから来るように。』


こんなセリフを言っている先生が想像できる。


まぁ、私も言いすぎちゃったのかな。帰ったらちょっとは謝っとこう。


冷蔵庫にはキノコのソテーとほうれん草のお浸し、ベーコンエッグが入っていた。


それを取り出しながら再び思うけど、いくら優しくて寛大な旗本先生でも、私に好意を抱くのは考え難い。


やっぱり紺野先生の心配性なんだと思う。


学校では、相変わらずの紺野先生。


体育の授業がない日だったのに休み時間は話しかけに来てくれたんだけど……。


「昨日はごめんなさい。私も強く言いすぎちゃった。」


「わかればいいの、でも真面目に気を付けなって。」


「それなんだけど、私そんなに信用がないですか?旗本先生と接点も少ないと思うんですが。」


「いやいや、どう考えても気を付けた方がいい。」


「嫉妬してるなら素直に言ってください。」