ほんとに無理、どうしよう、警察とかは大袈裟かも……でも普通について行きたくない。


「ちょっと、女の子に嫌なことしちゃだめでしょ。」


優しい声にギュッと瞑っていた目を恐る恐る開けると、目の前にいたのはなんと旗本先生だった。


え、嘘。なんでこんなとこにいるの?


「せんせっ……ん!?」



私の腕を掴んでいた直弥君の腕をグイッと引っ張り、私から引き離してくれた。


そして離された反動で足元がもたついた私を旗本先生が肩を抱く様な形になった。


なんか、ちょっとドキドキしちゃう……。


「え、何?月葉ちゃんの知り合い?こんなひょろそうなおっさんと?笑えるな。」


な、なんて人なの……?


直弥君はカラオケにいた時くらいまでは普通の大人しい人だったのに。


旗本先生を侮辱されるのはちょっと許し難いかも。


「あの、直弥君そういうことはっ……。」


「シッ、なんでもいいよ。君こそ、好きな子泣かせて恥ずかしくないの?」


旗本先生がどこまでもイケメンすぎる……!


ほかの女の子が好きになるのわかるなぁ。私も好きになっちゃいそう……。


「はぁ?うるせぇ、もういいよ、こんな女どうでも。」


旗本先生は、私が侮辱されたとて表情を変えずにそのまま直弥君を逃がした。