怖くなって後ずさったけど、直弥君はさっきまでの地味な雰囲気とは違って、思い切り私の腕を掴んできた。


こんなこと言って申し訳ないけど、人は見かけによらない……。


どうしよう……。


「いいじゃん別に。お茶でも飲んでけば無料のカフェでしょ?」


2人きりという条件付きのだけど。


やっぱり、この目はそういう行為に至らせる気満々だ。


やだやだ、こんな初対面の男なんかと……。


正直に言えば、そういう経験は全くない私にとって、緊張だってしてる。


でも同意の上の緊張とは違うし、そういうのは好きな人とするものだよね?


最近の若い人の価値観はよくわからないけど……。


「直弥君、カフェ代わりとかじゃなくて、別の目的ない?なんかそういう……。」


真面目に言うのは恥ずかしいので少し濁して言ったけど、照れたのが逆効果だったみたい。


「そういうのって、何?月葉ちゃんやっぱり男経験少なかったかぁ。」


にやにやしながら言うのが余計に気持ち悪い。


「なんでもいいでしょ、減るものじゃないし。いいからさっさと来て。」


強引に引っ張られて、あまりの力の差に自分でも情けない。


てか、やっぱりそういう目的で……!?


「やだっ、離してよ。やめて、お願い……!」