教師という立場から、生徒に触るなんてご法度だと思うけど、一緒に住んでる時点でアウトなんだから、と手が動いた。


月葉のおでこを撫でていると、俺まで落ち着いてくる。


学校ではチャラチャラとした先生を演じている。


『人が好きな自分』というものに酔っていたのかもしれない。


でも、本当に好きな人ができた時に、その人に過剰な接し方をしてもバレないためだってわかった。


自分の本命のカムフラージュのためにこんなにチャラチャラしてるなんて、絶対に知られたくない。


月葉には1番、幻滅されたくないから。


少し赤く染まった肌に、まつ毛が影を作っている。


そんな綺麗な寝顔を見つめていると、ため息がこぼれる。


旗本先生は、多分月葉のことが好きだ。


俺と仲良さげにしているのを見て敵対心むき出しなのも、月葉に対するストーカー行為も、極端でわかりやすい。


って、なんかマジで嫉妬してるみたい。だっさ。


でも、1つだけ、月葉のことを傷つけないでほしい。そして、俺も月葉のことは傷つけたくなかった。