2人でデートをするシーンなんて、まるで先ほどまでの自分たちのようだ。


手を繋いで歩いて、ご飯を食べて、映画のロマンチックな雰囲気が私にまで移ってきそうだ。


紺野先生の横顔が見れるかと思ったら、映画に見入って全くだった。


「いやぁ、面白かったね。」


「めっちゃくちゃドキドキしましたね。」


「そうなの?俺最後のキスシーンしか見てないや。」


えっ、何が逆に面白かったんだろう。


てか、それまでもしかして私の横顔を見てたとか?


紺野先生の方向いてなくて正解だったかも。


「広告が終わりそうなとこで寝ちゃった。」


「……そうですか。」


私が怒ったような顔をするのを、にやけ顔で覗いてきた。


本当に悪趣味!


映画を見終わってから、結局紺野先生の家の近所にあるコンビニに行って、アイスを買った。


「はい、これ半分あげる。」


「ありがと。月葉はバニラアイスが好きなの?」


「だって1番美味しいもん。原点にして頂点って言葉がわかるような例だよね。」


先生と2人で公園のベンチに座るの、何か青春ぽくて楽しい。


もう私の華の高校生活は終了したというのに。


「月葉、今日言えなかったけど、本当に月葉のこと愛してる。」


「私も、世界で1番先生のこと好きな自信あるよ。」


華の高校生活が終了しても、まだまだ私の青春はこれからだもん。



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そっと目を閉じて、私は紺野先生にキスをした。