「ご予約の紺野様でございますね。お席ご案内します。」


レストランに入ると、心地よい音量のクラシックが耳に響いた。


ウエイターさんがスマートに案内してくれて、私はスズメのようにちょこちょことついて行った。


椅子にストンと座り、紺野先生が「イタリアンコース2人で。」とスマートに注文した。


何かみんなスマートなんだけど……。


いつもよりもこういう場所にいる方が、紺野先生はカッコよく見えた。


「月葉はテーブルマナー平気なのか?」


にやにやとしながら私に話しかけてくる紺野先生。


もちろん、私は両親に厳しく言われてきたから問題ない。


「当たり前でしょ。両親の会食に昔っから何回も連れまわされてきたんだから。」


前菜が運ばれてきた。


「そういえば紺野先生って好き嫌いしないですよね。そういうとこ意外でカッコいい。」


「まぁ、昔から料理も食事も好きだったしな。月葉こそ、全く文句も言わず全部平らげるじゃん。」


確かに、前お母さんにも、「あんたは失敗したまずい料理も全部食べるのね。」と言われたかも。


紺野先生は器用にナイフとフォークを使って、どんどん食べ進めていく。


私は全然使えるけど、何せ食べるのが遅い。


「先生、食べ方綺麗ですね。そういうとこ尊敬します。」