私が証書を受け取るとき、少し保護者席も生徒席もざわついていたけど、でも気にならなかった。


だって、そんなこと今の私には糠に釘だもんね。


強くなった中川月葉のメンタルをなめないでほしい。


そういえば、全然気にしてなかったけど、なぜか旗本先生は辞めていない。


あの人、紺野先生以上にやばいことしてた気がするんだけどな。


私は訴えようと思えば訴えられるのかもしれないけど、もう過ぎたことに触れたくない。


紺野先生、あんなに怒ってたのに優しい人だ。


まぁ、旗本先生を許したわけじゃないんだろうけど。


卒業式も無事に終わり、私はさっさと帰りたいところだったけど、葵ちゃんに呼び止められた。


2人で中庭のベンチに座って、初めて真剣に話をしたかもしれない。


「月葉さん、紺野先生と今は連絡取れてますか?」


「全然、もうだめになっちゃった。向こうも、私のことを気遣ってくれてるんだろうから、私が無理言っちゃだめだね。」


「ホント、いつまで経ってもお気楽ですよね。月葉さんも、紺野先生も。私のことには何も気づかないし。」


本当は何となく気づいてた、葵ちゃんが紺野先生のこと好きなの。


「わかってるよ。私はずっと恋敵だったんだね。」


「そうですよ。やっぱり月葉さんはさすがに気づきますよね。」