「お疲れ様、今教師やってんだっけ?」


「あぁ、浩平か。いや、ちょっと事情があって今の高校は辞めることになった。」


浩平は高校の時1番仲の良かった親友で、こいつも俺と同じで騒いでばっかりだった。


「マジか、それは大変だな。じゃ今フリーター?」


「そうそう。もう笑うしかないよね。」


俺は酒が回り始めて笑ったけど、浩平は真顔のまま話を続けた。


「ちょうど俺の親戚が高校教師やってて、そこ紹介したげよっか?」


「えっ嘘。いいの?」


疲れすぎて笑っていた俺は、その話にすぐに食いついた。


しかも、また念願の高校教師をできるなんて、夢のようだ。


「桃咲高校ってわかる?お前が勤めてたのって白銀高校だっけ?桃咲高校って、白銀に並ぶくらいの進学校らしいぜ。」


「知ってるよ。よくうちの学校の女子が桃咲の話してたから。てか俺、そんないいとこでまた働けんの?」


「一応聞いてみる。教員免許取ってるんだろ。コネで何とかなるよ、きっと。」


「ありがとう浩平。マジでお前一生友達でいような。」


桃咲高校で働けるのか……。


一応聞いてくれるとか言ってたけど、俺はその希望がもはや嬉しく感じて舞い上がっていた。


ただ、もう1度教師をやるとなると、白銀であったことは全部隠さなきゃいけないのか。