授業が終わってから一目散に家に帰ると、紺野先生がいた。


「先生……帰ってたの?」


「うん、お帰り。さっき月葉のご両親にも連絡させてもらった。今日の便で明日の朝には着くらしい。」


「そっか……」


私が連絡しても無視していた両親、こういうときだけすっ飛んでくる。


「先生、私暴れちゃった。ごめんなさい、先生のためじゃないよね。」


「いいんだよ、月葉がかばってくれたの、嬉しかった。でもこれは明らかに俺のせいだから。月葉に責任を負わせるなんてそんなことできないんだよ。」


黙って私はソファーに腰かけた。


普段なら絶対制服のまま座ったりしない。


でも着替えたりする心の余裕が本当にない。


思えば旗本先生に犯されそうになった時の方が全然余裕。むしろ紺野先生に対しての申し訳なさが勝った。


私の全ては紺野先生のために機能していて、それがないと私の気力が出てこない。


「月葉、明日こそ学校行けないだろ。だから朝すぐに家に帰りな。俺との同居も、これが最後。」


「先生ともっと過ごしたい……先生本当に辞めちゃうの?どっかに行っちゃうの?」


「そうだよ。月葉が悪いんじゃない。俺が悪いから責任取って辞めるんだよ。」


その言葉を聞いただけで涙が目からあふれてきた。