「体育館で現役バスケ部とイケメンOBが試合してるからって、みんな見に行っちゃったでしょ」
あっ、ほんとだ。
いつの間に。
「教室は静かなものだよ。私達入れて6人くらいしか残ってない。寝てばかりのアンニュイ王子も不在だしね」
まぁ、近くに誰もいないから話してもいいか。
「普通にしゃべるようになったよ、環くんと。教室でも笑顔で話しかけてくれるようになったし」
「珠須島環って今までは無表情王子様って感じだったけど、雰囲気柔らかくなったってうちのクラスの男子も女子も騒いでた。それでそれで? みんなに隠れて付き合ってるわけ?」
「私たちは今まで通り。ただのクラスメイトだよ」
「なにそれ?」
「あっでも、仲がいい幼なじみには戻れたかな」
「手繋ぎは? ハグは? キスは?」
「もうストレートすぎ。ただの幼なじみだから、そういうこともしてないって」
「意味がわからない。両想いなんでしょ?」