雨を見て、心が痛まないわけじゃない。

 今もまだ、修也くんは眠り続けている。

 修也くんが足を滑らせたのは私の責任で、その罪が消えたわけじゃないから……



 最近はげんこつサイズのカンガルーのぬいぐるみが、心の癒しだ。

 購買のおばちゃんにもらったもの。

 考え事をするときは、つい頭を撫でてしまうんだ。


 美和ちゃんは、曇ってばかりの私の表情を晴れやかにしたいようで

「そのぬいぐるみを構うなら、私の頭を撫でてよね」

 と、冗談交じりで笑い声を飛ばしてきた。



「なごみ、教えて欲しいんだけど」


 いきなり小声になったけど、美和ちゃんどうした?


「その後、どうなったの?」

「ん?」

「初恋のお相手とはどう? お互い両思いだってわかったんでしょ?」

「ちょっちょっと、ここ教室だよ。みんなに聞かれちゃうから、その話をするなら……」