私は勇気を出して、修也くんのご両親と対話をするべきだったんだ。

 つもりに積もった悲しみを、吐き出してもらえばよかったんだ。


 なんで私っていつも、自分の感情にしか目を向けられないんだろう。

 相手の気持ちに寄り添える、優しい人間になりたいのに……




「なごみ、聞いてる?」


 あれ?

 親友の声がするような……


「ボーっと外ばっか見て。お弁当食べないと、お昼休み終わっちゃうよ」


 そういえば今はお昼休みだった!

 と我に返ったのは、机を挟んだ対面状態で座る美和ちゃんが、私の肩をぐわんと揺すってくれたから。


 私が座っているのは自分の席。

 窓際の一番後ろ。


 頬づえをつきながら瞳に映していたのは、窓の外の雨模様で。

 不思議だな。

 あんなに雨が大嫌いだったのに。

 拒絶しない程度に雨を受け入れられるようになった自分に、驚いている。


 ただ……