渦巻く醜い感情が、私の中で暴れ出して抑えられない。
嫉妬まみれの発狂なんてしたら、自分の醜さを晒してしまうってわかっている。
泣き叫んだ分だけ、環くんに嫌われるって理解している。
でもダメだ。
好きだからこその、憎しみがあふれ出してくる。
涙……止まらない……
「そうだよ、思ってるよ! 私が階段から落ちればよかったって!」
「なんでそんなこと……」
「だってケガをしたのが私だったら、環くんは私のことを恨まなかったでしょ! 私を大嫌いになんてならなかったでしょ! もう辛すぎなの……環くんに無視されるのは……本当に耐えられないの……」
荒げた声を弱らせながら頭を下げ、涙の落下地点を見つめ続ける私。
環くんが急に、言葉を漏らさなくなった。
彼の表情は見えないけれど、みじめに泣き叫んだ私に愛想をつかしたんだろう。
病院の裏口前の軒下。
地面を叩きつける激しい雨音だけが、むなしく響いている。
――いつの間にか、雨あしが強くなっていたんだ。
土砂降りの雨が私の涙腺を意地悪く突ついてくるから、私はしんどくてたまらない。