「帰らせて」

「俺は今話がしたい」

「帰りが遅いと、お母さんが心配するの」

「連絡すればいい。俺がなごみを家まで送り届けるから、安心してって」


 あぁ、もう!

 何を言っても言いくるめられちゃう。

 環くんから逃げるために、もっと語気を強めないと。


「今まで私のことを無視し続けておいて、今さら何? 私が昼休みに泣いて取り乱したから、昔の知り合いとして私が心配になっただけでしょ!」

「違っ……」

「私なんかに構ってる暇があるなら、彼女に時間を使いなよ。花音ちゃんに電話して、楽しくおしゃべりでもすればいいでしょ!」

「だから、俺の話を聞いて」

「イヤ」

「じゃあ、これだけは教えて」

「……」

「修也の代わりに自分が階段から落ちればよかったって、本気で思ってるの?」

「……」

「答えて、なごみ!」