怒っているかのような冷たい瞳で、私を見つめ続けている環くん。

 二人の間に流れる空気が、秒で気まずさを積み上げていき。

 いたたまれなくなった私は、なんとか笑顔を作り早口で言葉を羅列する。


「環くんも修也君のお見舞いに来たの? もしかして、私がずっと病室にいたから入れなかった? ごめんね、声をかけてくれれば待合室に移動したのに。あっさっきね、修也くんのお母さんも病室にいたんだ。今日は仕事がお休みだったみたい。それでね……えっとね……」


 あっ、ダメだ。

 笑顔なんて続かない。

 これ以上しゃべり続けたら、声と一緒に涙がこぼれそう。


 私は本当にワガママで、環くんの側にいると自分のことがどんどん大嫌いになる。

 環くんに彼女がいるってわかっているのに、思っちゃうんだ。

 私のことをわかってよ。

 こんなに大好きだって気づいてよって。