『ずっと僕に思わせぶりな態度をとっていたなんて……なごみちゃん、酷すぎだよ!』


 涙と一緒に飛ばした修也くんの怒鳴り声に驚いて、私はただただ固まってしまったんだけど。


 修也くんは傘もささず、軒下から飛び出し。

 一瞬でビチャビチャになるほどの土砂降りの中を走り去る修也くんを、私は追いかけずにはいられなくて。

 雨具放置でずぶ濡れになりながら、私は全力で走ったんだけど。


 長い階段を下っている途中、私は階段を踏み外してしまったんだ。

 雨で視界が悪かった。

 濡れた石段が滑りやすくなっていた。

 修也くんとちゃんと話さなきゃ!と、焦っていいたせいもあったと思う。


 靴のかかとが、石段を踏みしめることができず

『キャッ!』

 悲鳴を上げた時にはすでに、私の体は後ろに傾いてしまっていた。


 石段に全身が叩きつけられて、階段を滑り落ちちゃうんだ……


 強打の痛み覚悟で、ぎゅっと強く目をつぶった私。

 でも体はノーダメージだった。