「なごみ、俺の話を聞いて」

 
 なんでそんな焦った声なんか。


「……っ、聞きたくない!」

「3年前の土砂降りの日、俺はなごみに……」

「だから、聞きたくないんだってば!」


 部屋中に響くぐらい、大声で怒鳴ってごめん。

 でも環くんは、花音ちゃんのことをどれだけ深く思っているか、私に力説するつもりなんでしょ。

 聞きたくないの、そんな話。

 
「俺が今まで、なごみと距離を取っていたのは……」


 もうわかっているから。

 私が環くんに愛されることは一生ないって、ちゃんと理解している。

 だから放っておいて。

 惨めに泣いているからって、私に構わないで。

 優しくしないで。


「もう無理なの……限界なの……苦しいの……私は楽になりたいの……」