カウンターのすぐ向こうは、腰高の幅広な窓。

 レースカーテンすらかかっていないから、雨が窓に叩きつけられる様子がくっきりと目に焼き付いてしまう。


 雨を見ると、過去の自分を責められている気がしてしんどいんだけどな……


 ジリジリと痛みだす心臓。

 楽になりたくて視線をカウンターの上に逃がしたものの、まさかの逆効果で。

 震えっぱなしの環くんのスマホが目に入り、ギュっギュー。

 さらに激痛が走り、心臓が容赦なく握りつぶされてしまった。


 画面には、環くんの最愛の人の名が浮かび上がっている。

 目のやり場に困った私。

 今度は私の真横の壁にかけてある写真に、焦点を定める。


 縦型の賞状サイズに引き伸ばされた写真だ。

 はぁぁぁ、ツイてないなぁ。

 この写真まで、雨の日の風景なんて。


 あれ? 

 写真に映っているこの場所って……