でも、それは私の思い違いだった。

 私の浅はかな考えのせいで、3年前、悲惨な事件が起きてしまった。

 それは……




 ブーブーブー。

 スマホが震える音にハッとなり、私は意識を過去から現在に戻す。


 電話だよね、出ないのかな? 

 眠っている環くんの顔の横、カウンターの上に置かれたスマホが「気づけ」と言わんばかりのしつこさで震え続けている。


 離れた私のところまでバイブ音が響いているんだもん。

 眠りから覚めてもいいと思うのに。

 どうやら紫髪の眠り王子は、夢の沼に浸かるとちょっとやそっとのことじゃ現実に戻ってこれないようで。

 起こした方がいいのかな?

 私はドア前に置いた椅子に座ったまま。

 環くんの背中に穴が開きそうなほどの瞳の熱量で、彼をジー。


 一度鳴りやんでも、またすぐに震え出す環くんのスマホ。

 湧き上がるおせっかい心って、本当にやっかいだな。

 一度うずきだすと、アクションを起こすまで静めることができない。