私の初キスは中学2年生の時。

 今からちょうど3年前。

 梅雨真っただ中で、今日みたいに雨がザーザーぶりの夕暮れ。

 図書館の軒下だった。


 相手は幼稚園からの想い人

 珠須島(すずしま) (たまき)くん。


 付き合ってもいない天使顔の幼なじみに、サラッと唇を奪われてしまったんだ。

 
 ドキドキのバロメーターが、限界値を振りきっていたからかな?

 キスが極甘だったとか、チョコの味がしたとか、味うんぬんは全く分からなかったけれど……


 味覚以外の神経細胞は、敏感すぎるくらい活発で。


 ――イケナイことをしてしまったような……

 震えるほどの恥ずかしさに襲われて。


――鼓膜が破れそう……

 ドキドキの爆音が、耳の中でうなりだして。


 ――幼稚園からの片思いが実ったんだ///

 とてつもない幸福感で満たされて。

 
 フル稼働の4感が、私の心臓をキュンキュンと突ついてきたこと。

 今でもはっきりと覚えている。


 この時の私は幸せ200%だった。


 唇に刻まれた甘さに、脳がとろけだし。

 両想いで……いいんだよね?

 心臓のくすぐったさで、思考回路までぐちゃぐちゃで。


 どうしよう……幸せすぎる……


 脳内お花畑だった私。

 ボケボケしながら、つい口走ってしまったんだ。


 「大好きだよ、環くん」って。



 まさか私のこの告白が、取り返しのつかない悲劇を生んでしまうなんて。