でもキャーキャー声を瞬間冷却してくれたのは、切れ長の目を更につりあげた美和ちゃんで。

 和美ちゃんは板割りそうなほどの怒気を込め、両こぶしで机を真上からバーン!


「みんな好き勝手言わないでよ!」


 まるで私の心の痛みを、肩代わりしてくれているかのよう。


「なごみのこと……何も知らないくせに……」


 泣きそうな顔のまま、キリッと目を吊り上げている。



「ありがとう美和ちゃん、もういいよ」

 
 私をかばって、美和ちゃんがみんなから嫌われるなんて耐えられないし。


「なんかもう、わたし限界」


 えっ?


「ほんと頭にきた!」


 これはまずい。

 美和ちゃんがマジギレしてる。

 自分の意見をはっきり言えない私のことを、大嫌いになっちゃったんじゃ……


「なごみ、教室の外に行くよ」

「あっ、うん」


 私の腕なんか掴まなくても、ちゃんと美和ちゃんの後についていくのに。


 美和ちゃんに強引にひっぱられるまま、私は教室内を歩いていたんだけど……