「なごみ先輩は平日は毎晩、私のお兄ちゃんに会いに来てくれるんですよ」


 うっ……、花音ちゃん。

 そういうこと、安易にみんなの前で言わないで。

 勝手に妄想されちゃうから。

 
「うちのお兄ちゃん、なごみ先輩にすっごく愛されてて」

「……」

「お父さんとお母さんも、なごみ先輩のことをすっごく気に入ってるんです」


 
 はぁぁぁぁ、それは嘘だ。

 修也くんに会いに行ってるのは本当。

 でも私は修也くんの家族から、完全に嫌われている。


 目の前にいる妹の花音ちゃんもしかり。

 私と目が合っても、毎回無視。

 こんな親し気に話しかけられたことは、一度もなかったと思うのですが……



 椅子に座ったまま、周囲を見回してガックリした。

 なんで恋バナって、女子の好奇心をくすぐっちゃうかな?


 私の席周りに集まった子以外でも、遠巻きからクラスメイトが私に注目をしていて。

 みんな、私と修也くんのことを聞きたくてたまらないみたい。


「なごみちゃん、彼氏とどこまで進んだの?」

「初キスはどんなシチュだった?」


 なんてストレートな言葉で突ついてくる。