窓の外はザーザーぶりの雨。

 こういう日は思考がネチョネチョ絡まりがち。
 
 告白してフラれた中2の梅雨時期のことも、思い出したくないし。

 目の前の美和ちゃんだけに集中して、心の雨雲を取りのぞこう。

 深呼吸をして、笑顔を作ってと。


「美和ちゃん聞いて」

「なに?」

「昨日お兄ちゃんがね、ワンピースをプレゼントして……くれて……ね」


 途中まで声を跳ね上げた私だったのに、ため息とともに声が消える。

 無理やり作った笑顔は、イレギュラーに弱すぎみたい。

 教室前方の入口に立つ美少女が目に入り、表情筋がすとん。

 驚きで眼光が開いたまま、私はただただ固まってしまったんだ。


 マロン色の艶めいたユルふわ髪を躍らせる、西洋ドールのような美少女。

 彼女は……


珠須島(すずしま)、彼女が来てるぞ」