美和ちゃんとは、野いちご学園高等部の入学式で初めましてだった。
クール美人系の美和ちゃんと、ほんわか普通系の私。
高嶺の花っぽいし、私なんかと一緒にいてもつまらないかも。
なんて思いながら、入学当時はあえて距離を取ってはいたものの。
雨の日に学校に来るのがしんどくなって。
過去の辛い思い出がよみがえるたびに、自分の席に座り、泣きそうな顔で耳を塞いでいたら……
『大丈夫?』
美和ちゃんだけが私の異変に気がついて、優しく声をかけてくれたんだ。
女神様かと思った。
すがるならこの人しかいないって直感した。
だから私は、美和ちゃんだけに曝け出したんだ。
捨て去りたい辛い過去も。
自分の中にある醜い嫉妬心も。
私の嫌な面も知ったうえで、美和ちゃんは今も私の隣にいてくれる。
高2でクラスが別れたのは残念だけど……
私は幸せ者だよ。
お昼休みは高嶺の花の美和ちゃんを、独り占めできちゃうんだから。