もちろんこのクラスにも、たくさんの環くんファンがいる。

 他人に興味を示さない無口な環くんに、嫌われたくないんだろう。

 みんな遠巻きから、数個の群れをつくって環くんを眺めているけれど。


 私の隣の隣の席のなつみちゃんは、環くんのガチファンで。

 友達3人とキャーキャーキャー。

 声をあげだしたから、聞きたくなくても私の耳にキャーキャー声が飛び込んできちゃうんだ。



「キャ~ また環くんが、窓の外を見てる~」

「けだるげに降る雨を見つめる姿、アンニュイだよね」

「麗しいお姫様顔なのに、笑顔を見せないクールさはオスっぽいし。環くんのギャップって、エグすぎない?」

「話しかけるなオーラを放ってるし、何を考えているか全く読めないけど……」

「笑いかけられたことすらないけど……」

「環くんはそれで良し! 存在しているだけで神だもん!」