竜二がそう言って私の前で膝を付き、背中を向けた。
「え、なに?」

「それじゃ歩いて帰れねぇだろ。俺がおんぶしてやる」
「そ、そんなのいいよ! 歩いて帰れるから大丈夫だって!」

恥ずかしくて慌てて歩き出す。
だけど右足に体重をかけるとスキリと傷んで、なかなか前に進めない。

「そのスピードで帰ってたら明日になっちまうだろ。ほら、遠慮すんなって」
「でも……」

竜二におんぶしてもらって帰るなんて恥ずかしくてとても我慢できない。
想像するだけで顔が熱くなってくる。

「千夏。今日は甘えてもいいんじゃない?」
綾に背中を押されて私は竜二の背中を見た。