健太の説明に竜二が納得している。
だけど私は内心納得していなかった。

健太の言う通り動くおもちゃは誤作動もある。
だけどそういうんじゃない。

昨日見たピエロはまるで意思を持って私を驚かそうとしているような、そんな気がした。

「千夏。調子が悪いなら保健室に行く?」
綾が心配そうに声をかけてくるので私は慌てて左右に首を振った。

「ううん。大丈夫だよ」
「ま、プエロの人形くらい俺がどうにかしてやるから、安心しろ」

竜二からの思いがけない言葉に顔を向けると、竜二の頬は照れたように赤く染まっていて、視線が合う寸前にそらされてしまった。

「あ~あ、熱い熱い。ちょっと離れたほうが良さそうだな」
健太がわざとらしくそう言って綾とふたりで離れていく。

「ちょ、ちょっとふたりとも!」
顔が熱くなるのを感じながら、私は竜二と綾のふたりを引き止めたのだった。