隣の綾を目配せをして放課後の出来事について説明する。

先生は最初真面目な顔で話を聞いていたけれど、途中から眉を寄せて、最後にはソファの背もたれに背中をもたれさせて目を閉じてしまった。

それでも最後まで聞いてくれたことで安堵する。
とにかく自分たちの役目は果たしたことになる。

「ピエロが襲ってくるか……。なにか、そういう映画を見たんじゃないのか?」
「そんなんじゃありません!」

綾はそう言うと、絆創膏の貼ってある自分も足を先生へ見せた。
「ピエロにナイフで切られたんです!」

「それが本当なら傷害事件だ。先生だってほってはおけない。でもな、放課後のその時間は先生たちもまだ職員室にいるけれど、グラウンドにピエロを見たことなんて1度もないぞ?」