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「今日のピエロは一撃じゃ逃げていかなかった」
帰り道、健太が真剣な顔で言った。

「それだけじゃないよ。動きだってすごく早くなってる」

方向転換するときは少し遅くなるものの、気がつけばすぐ近くまで来ていることが多くなった。

このままじゃ、私達が攻撃を受ける日はそう遠くない。
「だからって囮になろうとするなんて……」

竜二が呆れたため息を吐き出して呟く。
そして私の肩に手を置いた。

「本当に無茶すんなよ。千夏のせいだなんて誰も思ってないんだからさ」
「わかってる。でも、私だってみんなの役に立ちたくて」