周囲を見回してみても武器になりそうなものはなにもない。
また物陰に隠れてやり過ごすしかないんだろうか。

そう考えている間にピエロがあっという間に距離を詰めてきていた。
真っ赤な口がニンマリと笑う。

その顔がはっきりと見える位置にいる。
「キャアア!」

大きな悲鳴を上げてピエロに背を向けて駆け出した。
竜二と健太も同時に走り出す。

「誰か、助けて!!」
健太が叫び声をあげるけれど、グラウンドには誰の姿もない。

職員室までは声が届かないのか、先生たちが出てくる気配もなかった。
「誰か助けて!」

「先生、出てきてくれ!!」