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いつもはみんなで帰るのが楽しいから、こんなに重たい気分で昇降口を抜けるのは初めてのことだった。

今日もピエロが出てきたらどうしよう。
私の頭の中はそればかりがグルグルと回っている。

「大丈夫だって」
竜二に手を引かれてグラウンドへ出たとき、またあの音楽が聞こえてきた。

そしてカラカラと安っぽいタイヤが回る音も。
「ひっ」

小さく悲鳴を上げてその場に立ち止まると、今度はグラウンドの木の陰からピエロが姿を見せたのだ。

「また来やがった」
竜二が舌打ちをする。

「どうしよう」