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最初ピエロが現れたとき、綾は私のせいじゃないと言ってくれた。

だけど実際に自分が被害にあって、危うく死んでしまう目に遭った綾はきっと私のことを恨んでいる。

休憩時間、1人で教室を出て人気のない渡り廊下で座り込む。

綾のそっけない態度を思い出すと目尻にジワリと涙が浮かんできて、慌てて手の甲でそれを拭った。

怪我をしたのも一番こわい目にあったのも綾なのに、自分が泣いてちゃダメだと叱咤する。

「とにかく、ピエロをどうにかしなきゃ」
「そんなの1人でどうにかできるもんじゃないだろ」

その声に驚いて振り向くといつの間にか竜二が立っていた。
「竜二……」