コンクリートで囲まれた部屋には外へと続く大きなドアもあった。
ここから演劇や演奏などに必要なものを搬入しているのだ。

暗い空間をまた健太がスマホで照らしてくれたけれど、やはりなにもなかった。
「どこにもいないね……」

体育館倉庫の中も調べてみたけれど、結局ピエロを見つけることはできなかった。
「学校内にはいないのかもしれない。だけどそれはいいことだから大丈夫」

健太が自分の言葉にうんうんと頷いている。
学校内にいないのならひとまずは生徒や先生が襲われる心配はないということだ。

そうこうしている間に次の授業開始5分前を知らせるチャイムが聞こえてきたのだった。