カラカラカラ。
タイヤが壊れたピエロは横倒しになってタイヤを空転させる。

手に持っていたナイフは地面に落ちて、それは今健太が握りしめていた。
追いかける術も、攻撃するすべもうしなったピエロはただただタイヤを回すだけだった。

「これ、どうする?」
哀れな姿のピエロを取り囲んで健太が呟く。

自分たちを追いかけ回し、恐怖に追いつめたピエロ。
このまま焼却処分してしまいたかったけれど、さっきみた映像が頭から離れなかった。

「スマホはまだ使えないし、誰もいないってことは、まだ終わってないってことなんだと思う」

私はピエロを見下ろして言った。
まだ終わっていない。