窓から逃げ出す若者たちの奥からあのピエロが姿を見せた。
もしかしてこの家を守っているんだろうか。

家の中を荒らす若者たちを追い返しているように見えるのは、きっと気のせいじゃない。

ピエロは家族がいつ戻ってきてもいいように、この家を守っていたんだ。
それなのに……。

『見てみろ、捕まえてやった』
幽霊屋敷の噂を聞いた男たちが家の中に侵入し、そしてピエロを持って出てきたのだ。

『なんだ、ただの人形じゃねぇか』
『当たり前だろ。誰かがネジを巻いて動くように細工してたにきまってる』

そして男たちはピエロをあの公園のゴミ箱へと……捨てた。