だけど今ここから出れば、狭い通路でピエロと鉢合わせすることになる。
ナイフで攻撃されれば、よけることはできない。

ピエロがバタンバタンと個室のドアを開いて中を確認していく音が聞こえてくる。
私は綾の顔を見つめた。

青ざめて今にも倒れてしまいそうだ。
それに私もまだ足の痛みを引きずっている。

このままじゃ、ふたりともやられてしまう……!
バタンッと隣のドアが開かれたとき、決断した。

「綾、便器の上に乗って!」
「え?」

混乱してる綾を無理やり便器の蓋の上に乗せる。
綾は小さくて軽いから、壊れることはない。