「私も大丈夫だよ。ちょっと無理して走ったから痛くなっただけ。休憩すれば元に戻ると思うから」

そう言いながらも足の甲は熱を帯びたようにズキズキと痛む。
つい顔をしかめてしまいそうになるけれど、どうにか綾へ笑顔を向けた。

「竜二と健太は大丈夫かな」
綾が不安そうな顔で呟く。

竜二は私と綾を隠れさせるためにピエロの囮になってくれた。
逃げ切ってくれないと困る。

「きっと大丈夫。健太は頭がいいから適切な隠れ場所を探せるし、竜二は足が速いから逃げ切ることができる」

そうであってほしいと願う気持ちで答える。