振り向けばピエロの笑った顔がすぐそばにあるはずだ。
「足が痛いのか?」

「大丈夫だってば。私はトイレに隠れるから、行って!」
前方にトイレの表札が見えている。

一旦そこで休憩すれば、きっとまた走ることができる。
竜二が私のことを気にしている中、綾が振り向いた。

そして私の後方へ視線を向けてサッと青ざめる。
その瞬間綾の歩調がゆるくなり、足を絡ませてこけていた。

「きゃっ!」
悲鳴をあげて転倒する綾。

その声に気がついて立ち止まる健太。
「綾、大丈夫か?」